高山の町では、旅一座の興行で賑わいを見せていた。中でも、幼い歌姫・千尋(さくらまや)が父親の幸吉(二反田雅澄)がたたく桶の拍子に合わせて、見事に歌い上げるの姿には、みなが拍手や歓声を送った。一座の興業元を引き受けた三浦屋の主人・総右衛門(田村亮)もその歌声に感銘を受けていた。総右衛門は、座頭である立花綾之丞(綾奈舞)に今夜三浦屋に来るときに、千尋も一緒に連れてきてほしいと頼むのだった。
富山を後にした老公(里見浩太朗)一行は、天領地である高山へとやってきた。街道には、荷物を運んでいる歩荷(ぼっか)の姿があった。すると、頬被りの男たちが現れ、三浦屋の荷を運んでいた歩荷に斬りかかったため、助三郎(原田龍二)と格之進(合田雅吏)が助けに入った。老公一行は、歩荷を助けたお礼にと、その晩三浦屋に世話になることになった。老公は主人の総右衛門に、荷を狙われるような訳があるのかと尋ねると、心当たりがないと言う。気になった老公は、お娟に事の真相を探らせるのだった。
三浦屋の荷を運ぶ歩荷を襲ったのは、材木問屋の大島屋徳蔵(杜澤たいぶん)の息のかかったやくざ・万助(森里天)たちだった。お娟の調べでは、大島屋は代官の大槻主膳(梅野泰靖)と結託し、土地を買い占め高山の地に色街を造って私腹を肥やそうと企てていた。老公は、悪事の証拠を掴むため、しばらく様子を見ることにするのだった。
三浦屋に向かわなくていけない千尋と幸吉だったが、行きたくない幸吉はなんだかんだと理由をつけ、居酒屋で酒を呑み、その場で寝てしまう。そのため、千尋は仕方なく一人で三浦屋へ行くのだった。千尋が店を出た後、幸吉の様子に居酒屋の女将・おちか(眞乃ゆりあ)は、千尋の母親は三浦屋の駆け落ちした娘なのではないかと幸吉に尋ねた。幸吉は必死で否定するが、動揺を隠せない。外では、そのやりとりを万助の子分たちが見ていたのだった。
三浦屋で千尋は、老公たちに唄を披露した。老公はその歌声に感心する。その後、庭先で一人歌っている千尋を見つけ、千
尋に合わせ一緒に歌うのだった。老公に親しみを感じた千尋は、まだ会ったことのない祖父に会いたいという思いを打ち明けたのだった。
弥七(内藤剛志)の知らせにより、千尋が三浦屋の孫であることを知った老公は、千尋の身に危険が迫っていると感じ、助三郎と弥七を一座に向かわせる。しかし、すでに千尋は万助の子分により連れ去られていた。これ以上このままにしてはおけないと考えた老公は、三浦屋に歩荷が襲われた真相や千尋が孫であることを話すのだった。そして、幸吉から三浦屋の娘・おせんと千尋の今日までの話を聞くのだった。
連れ去られた千尋が大島屋にいることを知った一行は、幸吉とともに千尋を助けに行った。老公は、お娟(由美かおる)が見つけ出した色街の計画が記された地図を証拠に、大槻たちの悪事を暴いた。そして、千尋に祖父が三浦屋であることを告げ、千尋は念願だった祖父との再会を果たしたのだった。そして、幸吉は千尋のために三浦屋に千尋を残して旅立とうとするが、三浦屋の気持ちにより千尋は幸吉と供に旅を続けるのだった。