

悪事を見抜いた鑑定人(敦賀)12月6日(月)放送
水戸老公(里見浩太朗)一行は敦賀に着いた。鞠山藩では前年の大津波で被災した人々が困窮していた。心優しい若殿・酒井忠菊(木村遼希)は領民を救済するため、藩の宝物を売り払うことにし、加賀の名鑑定士・高山惣右衛門を呼び、その到着を待ちわびていた。しかし鞠山藩の年寄・横山宗達(中田博久)は忠菊の決断を面白く思っていなかった。
茶屋で団子を食べようとしている楓(雛形あきこ)の前を、父とお腹をすかせた娘が通りかかる。楓は娘に自分の団子を差し出すが娘は頑に受け取らない。二人が押し問答を繰り返していたところ、隠居風の年寄りを暗殺しようとしている浪人たちを見かけ、楓はすぐさま老公の元へ知らせる。浪人たちは老公一行に襲いかかるが、弥七(内藤剛志)が現れ蹴散らした。どうやら浪人たちは老公を高山惣右衛門と間違えているようだ。乱闘から逃げようとして足をくじいてしまった八兵衛(林家三平)は、茶屋にいた父娘に杖を作ってもらう。父の佐五郎(長江健次)は宮大工で娘のお菊(川嶋紗南)とともに、津波の被害にあったという萬心寺の修繕普請に行く途中だと言う。道すがら老公は、楓とお菊の仲むつまじい様子を見て、本当の姉妹のようだと微笑ましく思うのだった。
佐五郎とお菊は萬心寺に仕事をもらいに行くが、住職の芳悦(火野正平)に「燃えたならまだしも建替る気はない」と、にべもなく追い払われる。芳悦の非情なふるまいにお菊は思わず、「じゃあ火事になればいいのかい?こんな寺、燃えちまえばいいのに」と口に出してしまう。そんなお菊を佐五郎は厳しく叱るのだった。結局、佐五郎は廻船問屋・有賀屋で人足仕事をすることになった。有賀屋の蔵へ船荷を運ぶ佐五郎は、床の一部が他と違うことを敏感に察知し、不審に思う。お菊は、人足小屋が女人禁制のため楓と一緒に老公たちのいる旅籠に世話になることになった。
高山惣右衛門に間違えられたことに疑問を持った老公は、藩主・忠菊が領民救済のために藩の宝物を売り払うという話を聞き、その宝が保管してある萬心寺へお菊の案内で向かう。だが、芳悦は鑑定日までは誰にも見せてはならない決まりだと断固として断る。その間、お菊は宝物庫の床下に忍び込み、父に何か仕事はないかと修復すべき箇所を探していたが番人に見つかってしまう。楓の助けによって無事に逃げることができたが、その際に母の形見である大切な櫛を落としてしまうのだった。
その頃、八兵衛は客引きした若者(伊嵜充則)が目利きであることを知り、旅籠で鑑定会を開く。若者の確かな目利きによって鑑定会は大盛況であった。
大切な櫛を無くしたことに気づいたお菊はすぐさま人足小屋へ行くが、佐五郎は不在であった。お菊はひとり小枝に火を灯して、昼間訪れた宝物庫の床下を探す。──「じゃあ火事になればいいのかい?こんな寺、燃えちまえばいいのに」。先日のやりとりを反芻し、お菊は思い詰めた表情で火を見つめる。一方、お菊を探していた楓は、萬心寺の方角が燃えているのに気付き駆けつける。すると、衰弱したお菊が萬心寺からふらふらと歩いてくるのを見つけるのだった。
焼け跡を調べていた郡奉行(剛州)は、現場でお菊の櫛を拾う。役人がお菊を探しているのを見掛けた佐五郎は、心配して旅籠へ向かう。そこへ、火付けの下手人を捕らえに来た役人たちと鉢合わせし、間一髪のところで、楓がお菊を連れて逃げたのだった。真相を尋ねると、お菊は宝物庫で有賀屋の紋が入った提灯を見て、火を投げ入れた男はお父っちゃんではないかと不安に思ったと言う。楓は父親を信じるよう励ますのだった。
突然、佐五郎は自分が火を付けたと名乗りでる。佐五郎は死罪を申し渡され、投獄されてしまう。すべてはお菊を助けるためであった。弥七は老公に、芳悦と横山そして廻船問屋の有賀屋(丸岡奨詞)が宝物を売って私腹を肥やし、それを隠すために火事を起こした真相を知らせる。いよいよ老公は八兵衛が客引きした若者と共に宝物の鑑定へと向かう。この若者こそ、名高い鑑定人・高山惣右衛門の二代目であった。惣右衛門は忠菊に、燃え後に残された欠片には価値ある物が一片としてないことを伝える。老公は、芳悦と横山らの悪事を暴き、隠し持っていた藩の宝物を忠菊に返す。そして、その隠し場所は佐五郎が見つけたことを伝えるのであった。釈放された佐五郎は、皆が見守る中、お菊との対面を果たす。萬心寺の建て直しを命じられた佐五郎は、旅立つ老公一行に感謝の気持ちを伝えに来る。楓はお菊に「二度と無くすんじゃないよ」と櫛を贈り、別れを惜しみつつ敦賀を後にしたのだった。
