鶴岡へやってきた老公(里見浩太朗)一行は、海岸で破落戸たちに嫌がらせを受けている百姓たちを助ける。百姓たちは防砂用の木のために苗木を育てており、それをまとめている造り酒屋の最上屋卯兵衛(山本亘)の家に世話になることになった。その夜、何者かによって最上屋の酒樽に火がつけられる。老公が卯兵衛から事情を聞いたところ、民のために植林の計画を進めているのは藩主の酒井忠真(夏原遼)で、台所事情の厳しい藩に変わって商人たちに私財を投資して植林を行うよう頼んだという。そして、その役を最上屋が請け負った。成功すれば、他の商人にも命じようというのが藩主の考えだが、商人の中には植林を無駄な出費と捉える者もいて、卯兵衛たちに嫌がらせをしているのではないかとのことだった…。
老公はこの旅で、鶴岡に嫁いだ姪の密姫(黒川智花)と久しぶりに再会再開することをとても楽しみにしていた。老公たちが卯兵衛たちを手伝おうと苗木畑に行ったところ、密姫が身分を隠して苗を植えている姿を目にした。動揺した老公は、急に用事を思い出したとその場を立ち去ってしまう。その様子に、助三郎(原田龍二)と格之進(合田雅吏)は何か仔細があるのではないかと感じるのだった。
老公は弥七(内藤剛志)に城の様子を探らせた。弥七の調べによると、密姫の夫である忠真は毎晩酒浸りで放蕩三昧だという。密姫がたしなめても忠真は生活を改めようとはしない。密姫は忠真を心配する一方で、忠真に酒を勧める城代家老の安藤民部(亀石征一郎)に企みがあるのではと疑念を抱いていた。
実は、安藤は廻船問屋の潮崎屋宗次郎(唐沢民賢)と手を組み藩の権力を握ろうと企んでいた。その為に、卯兵衛たちに嫌がらせをし、忠真の植林計画を阻止しようとしていたのだった。
密姫と女中の佐知(おおたにまいこ)が城を抜け出し苗木の様子を見に行くと、破落戸たちが苗木を荒していた。二人は止めに入るが逆に捕えられてしまう。そこへ、助三郎と格之進が駆けつけ、二人を助けた。二人は詳しい身元を明かさずに、植林への想いを語った。夫は頼りにならず、叔父からは嫁いだら実家のことを忘れるよう言われたため、誰にも頼らずに頑張っていたのだった。そして、二人を送り届けた助三郎と格之進は、先ほどの娘が密姫であることを知り、老公を問いただしたのだった。
鶴岡には、古着を裂いて笠に付け、女物の襦袢に身を隠して酒を注いでまわる化物祭という祭りがある。鶴岡の町はその準備に追われていた。八兵衛(林家三平)もその準備にと古着を手にしていた。それを見た老公は八兵衛から古着を借りて身につけ、百姓のふりをして苗木畑へ行き、思い悩む密姫を励ましたのだった。そして女中の佐知にくれぐれも奥様(密姫)をよろしくと頼むのだった。
意を決した密姫は、城から出る安藤の後をつけた。潮崎屋で密談する安藤と潮崎屋の話を聞き、二人の企みを知る。だが、安藤らに見つかってしまい追い込まれるが、お娟(由美かおる)らによって助けられる。最上屋へと逃げ込むが、すぐに安藤たちも押し掛けてくる。老公は、すでに最上屋に忠真を呼んでおり、その場で安藤らの悪事は明るみになり、その企みも泡となって消えたのであった。実は忠真は、安藤に不信感を抱いており、油断させるためにわざと遊興にふけっていたのだった。藩主の真の心を知った密姫には、心からの笑顔が…。老公は、忠真の行動に庄内藩の安泰を確信し、密姫の笑顔を胸に鶴岡の地を後にしたのだった。