水戸老公（里見浩太朗）は富山へ。神社の境内でひと休みしていたところ、箍売りに狙われている武家娘を目にし加勢するが、娘はさらにその場から逃げるのだった。その様子に何か仔細があるのではないかと感じた老公のもとへ、弥七（内藤剛志）から富山藩主・前田正甫（五宝孝一）の御落胤騒ぎの知らせが入る。今の騒ぎが御落胤騒ぎに関わっているのではないかと感じた老公は、お娟（由美かおる）に城内を探らせるのだった。

城では、一昨年、正甫の世継ぎである鶴丸君が亡くなった。その後、消息が分からなくなっていた女中の佳代が生んだ亀千代（谷野欧太）が名乗り出た。正甫は、亀千代との対面を待ち望んでいたのだった。佳代はすでにこの世になく、佳代の母親であるおとよが亀千代を育てたという。しかし、出生については不明な点が多く、家老の立花恭之亮（冨家規政）は対面に慎重だ。一方、家老の大野監物（藤木孝）は、対面の日取りを早く決めるよう恭之亮を急かす。恭之亮はまず自らが亀千代に会いに行った。後見人の鰍沢将監（瀬川菊之丞）は、正甫の実子であるという証拠として短刀とお墨付きを恭之亮に見せたのだった。

一方、亀千代の出生を探っていたお娟は、亀千代とおとよが身を寄せていたという仙吉（樋浦勉）の元を訪ねるため桐谷村へと向かった。お娟よりひと足早く、仙吉の元へたどり着いた武家娘は、亀千代の出生を問いただすが、仙吉はお殿様に恨みがあると言って出自を話してくれない。そこへ箍売りが二人に襲いかかるが、お娟が寸でのところで助け、武家娘は難を逃れたが仙吉は深手を負ってしまう。武家娘は、茜（木内晶子）といい、恭之亮の妹で、兄の命を受けて亀千代の出生を探っていたのだった。

城下では、対面の日取りが決まらないと業を煮やした鰍沢が大野を訪ね、一刻も早い対面を迫った。実は、家老の大野は鰍沢と結託して、亀千代を世継ぎに据えて藩の実権を握ろうと野心を抱いていた。茜を狙っていたのも、大野の差し金であったのだ。

仙吉の意識は戻ったが、亀千代について話してはくれない。かつて、天災続きの不作で村人たちが食べていくこともできずに困っていたときに、奉行所に年貢の軽減を申し出たが、その時に大野にひどい仕打ちを受けたことを恨んでいたのだった。その話を聞き、茜は心から謝罪したが、仙吉は許してはくれない。見かねたお娟は、茜が仙吉を心配して水行を行っていたことを明かし、仙吉を説得したのだった。そして、仙吉は亀千代がお殿様の実の子ではないと打ち明けた。

早速、お娟と茜は花売りに扮して、警戒の厳しい城下に入り、恭之亮に真実を告げた。しかし恭之亮は謹慎処分を受けており、なすすべがなく、お娟は茜に老公に相談するよう勧めた。城中で正甫と亀千代の対面の儀が執り行われているところへ、恭之亮と茜は命を懸けて、亀千代が偽者であると正甫に訴え出たのだった。正甫は激怒し、二人を手討ちにすると刀を手にしたところへ老公と助三郎（原田龍二）、弥七が証人である仙吉を連れて現れた。老公は大野らの企みを暴き、命懸けで藩を守った恭之亮たちを讃え、正甫に家臣をよく見極めるよう説いたのだった。