水戸老公（里見浩太朗）一行が到着した米沢では、米沢城に砲弾が打ち込まれ、大騒動になっていた。一行は、旅籠で出会った旅の絵師・おせい（馬渕英俚可）から、米沢藩の民が苦しい暮らしをしているにも関わらず贅沢を続けている藩政に天罰が下ったのだという噂話を聞いた。たまたま砲弾が撃ち込まれるところを目にし、城に駆け付けたお娟（由美かおる）は、江戸で死んだと思われていた臥雲坊（高知東生）が今回の騒動に関わっていることを知り、老公に伝えた。

米沢城では、今回の騒動の評定が原田織部（滝田裕介）ら重鎮らによって開かれていた。誰の仕業か見当がつかない上に、賊は五千両の大金を要求してきたのだった。そのころ弥七は臥雲坊の後を追っていた。そして、弥七は、臥雲坊と激しくやり合うが、臥雲坊はまた姿を消してしまう。時を同じくしておせいが、人目を忍ぶように料理茶屋に入っていく。そして、浪人・速水源内（神保悟志）と今回の騒動について話すのであった。おせいは、速水の「使い捨てにされた浪人たちを救う」という志に賛同し、砲術家であった父の秘伝をもって手をかしていたのだった。

老公は、臥雲坊との間に何があるのかを弥七（内藤剛志）から聞くのであった。臥雲坊は伊賀の忍びのころ雲の十郎と呼ばれており、青い風車を使うなど弥七とは兄弟分のような間柄であったが、伊賀と甲賀の争いによって頭領の道哲を失う。道哲は息を引き取る間際、決して仇打ちはしないこと、そして娘・梢は砲術家・三崎幽斎の養女とするゆえ今後一切関わらないでほしいと残すが、二人は若さゆえにそれを守れずに仇を討とうとして伊賀の里を追われたのであった。そして二人はその時に別れ別れになり、弥七は老公と出会って生きる望みを持ったが、臥雲坊は未だに名を替え戦いの中に身を置くのであった。さらに、おせいが梢であるという事実を語ったのだった。

早く事にとりかかろうと、ついに速水たちは、砲撃を恐れて城から逃げ出していた側室・藤の方（長井槇子）をさらうという強硬手段に出た。おせいは、そんな速水の行動に不安を覚えはじめていた。城では、浪人たちの要求をのむことが決まり、その知らせを聞いた速水は、浪人たちに酒をふるまうが、実はその酒には眠り薬が入れられていた。そして、大目付の荻野大膳（成瀬正孝）が五千両を浪人たちが立てこもる古寺に運ぶ。しかし、速水と荻野は秘かに手を結び、金は二人で分け浪人たちは荻野が一網打尽にし手柄にすると企てていたのだった。

速水の本心を知り、梢は速水に斬りかかるが、あっけなく捕えられてしまう。しかし梢の窮地を臥雲坊が救った。臥雲坊は、梢を心配して見守るために、速水から仕事を請けていたのであった。速水、荻野の悪事は明白になり、老公は私利私欲のために人の心を欺き、利用したことの罪の重さを厳しく言及した。