

水戸老公(里見浩太朗)一行は奈良へ入った。奈良は、麻を白く晒した奈良晒(ならざらし)の名産地である。一行は、奈良晒を扱う大和屋を訪ね奈良晒を見せてもらうと、店主の久兵衛(江藤潤)のすすめで、大和屋に世話になることになった。久兵衛によると、奈良晒は徳川家康も汗をよくはじくとその品質のよさをほめたという。大和屋には、「南都改」という御朱印が与えられており、将軍家への献上品も取り扱っているのであった。久兵衛の息子・藤一(池田努)も晒職人で、父の厳しい指導の下、将軍家に献上する品を仕上げるため、懸命に腕を磨いていた。
その頃、大和屋と並ぶ、晒問屋の葛城屋粂蔵(石沢徹)は、物産方与力・横井重成(草見潤平)と結託して、晒の粗悪品を秘かに流通させ、その儲けを自分たちの懐に入れていたのであった。そして、粂蔵は居酒屋で出会ったならず者の勘太(石井康太)の度胸を見込んで、手下にして利用しようと企んでいた。
藤一が晒場で片付けをしていると、そこへ勘太と数人のゴロつきが現れて、藤一に襲いかかりさらおうとするが、弥七(内藤剛志)が現れ藤一を助けたのだった。しかし藤一は乱闘で腕を負傷してしまう。久兵衛の若い後妻・お美代(映美くらら)は藤一の腕を心配するが、藤一は冷たくあしらうのだった。藤一は病死した本当の母親が今でも忘れられず、お美代に対して心を閉ざしていたのだ。
葛城屋が奈良晒の粗悪品をつくって私腹を肥やしていることを突き止めたお娟(由美かおる)は、老公一行とともに葛城屋の晒場へと行く。するとそこで待ち受けていたのは、無幻斎(大沢樹生)一党であった。無幻斎は老公を亡き者にしようと襲いかかるが、東条隼斗(市瀬秀和)が現れ、危機を救ったのであった。
藤一をさらい損ね、粂蔵に対して挽回したいと考えていた勘太は、新吉(伊澤柾樹)を使ってお美代を呼び出す。実は勘太とお美代は昔なじみで、お美代には暗い過去があったのだった。
晒の利権を一手に握ろうと考えている粂蔵とそれにより私腹を肥やそうと企む横井は、大和屋を潰す機会を狙っていた。そして横井は、藤一が腕を痛めていることを利用し、大和屋に幕府へ献上するための奈良晒の納期を早めさせたのだった。困っている大和屋に、老公一行は共に晒づくりを手伝うと申し出た。そして、皆で力を合わせて献上品を間に合わせた。
勘太は、お美代に過去をばらすと脅し、献上用の晒を納めてある蔵の鍵を夜に開けておくよう言うのだった。その夜、蔵へとやってきた勘太に、お美代は献上用の晒を守るため、勘太を殺して自分も死ぬと、包丁突きつけた。弥七の知らせで、勘太の計画を知っていた一行は勘太を捕らえた。献上品が間に合ったことを知った粂蔵は、勘太を使って献上用の晒を偽物にすり替えて、大和屋を失脚させようと企んでいたのだった。
翌朝、献上用の晒を江戸へと送り出す儀式で、勘太の計画が失敗したと知らない粂蔵は献上用の晒が偽物であると言いがかりをつけ、品物を調べて欲しいと横井に申し出た。その言葉通り横井が調べてみると、献上用の晒が本物であったため、粂蔵は混乱する。そこへ証人である勘太を連れた老公一行が現れ、粂蔵と横井の悪事を明らかにするのだった。
