「旅籠で格さん瓜二つ(福島)」 2017年10月18日放送 脚本:尾西兼一 監督:矢田清巳
老公一行は、福島の城下町近くに足を踏み入れていた。遠縁の家に立ち寄る格之進と別れ、今宵の宿を探そうと先を急ぐ老公と助三郎は、途中、姉のおきみと旅籠・桃水で下働きをしている三吉と出会う。三吉たちは、三年経ったら必ず戻ると約束して出て行った主の多一郎を待っていたのだ。
そこに多一郎そっくりの格之進が、老公たちの後を追ってやってきた。多一郎が戻ってきたと喜ぶ三吉とおきみ。女将のお千代は人違いに気付いていたが、姉弟のあまりの喜びように本当のことが言えないでいた。
聞けば三年前、桃水で番頭をしていた勘助の誘いで、伝次郎親分の賭場に通うようになった多一郎は、あっという間に五十両もの借金を背負い、その金を工面するために家を出た。主のいなくなった桃水はみるみるうちに衰退し、頃合いとばかりに勘助は店の者を次々と引き抜き仙波屋を始めた。多一郎らから巻き上げた金は郡代・鎌田彦太郎の懐を潤し、絶大な後ろ盾を得て、勘助は幅を利かせるようになったのだった。