水戸老公(里見浩太朗)一行は金沢へ。老公は城内の無駄を無くす役目の倹約奉行・黒鉄清兵衛(西郷輝彦)に会い、清兵衛の実直な仕事ぶりに感心する。質実剛健を体現し、口うるさい清兵衛は藩士から煙たがられており、嫁いだ娘の綾(松永京子)まで家に寄り付かない。
清兵衛とその配下・吉田安之進(田島俊弥)は、倹約を徹底している割に成果があがっていないことに不審を抱き、調べをすすめていた。すると納戸方の役人が管理する帳簿が付け替えられおり、裏金作りが行われていたことがわかったのだった。正義感の強い清兵衛は家老の河合源十郎(笠原章)に、その事実を告げた。しかし、河合こそが不正を指示していた張本人だった。河合は清兵衛を納得させるために、納戸方の内海数之助(勢至郎)を左遷させ、裏金の件を片付けようとした。しかし、清兵衛は、まだ不正が行われていると主張した。すると河合は、目障りな清兵衛に破落戸達を使って脅しをかけさせ、清兵衛の妻・香苗(姿晴香)に金入れた菓子を渡し丸めこもうとするのだった。
左遷させられた内海は、河合の息のかかった瀬川昌二郎(江端英久)の口車に通りかかった倹約方の吉田に因縁をつけて斬りかかる。やむを得ず抜刀した吉田は内海の腕を斬ってしまい、刃傷沙汰を起こしたとして藩を追放されることになってしまった。刃傷沙汰の裁定に納得がいかない清兵衛は河合にかけあうが、そこで、香苗が金を受け取ったことを知らされる。日々倹約に努めていた妻が金を受け取るなど信じられない清兵衛は、香苗に金の使いみちを問いただすが、本当のことを言わない。業を煮やした清兵衛は、香苗に家を出て行くよう言い放った。そして、妻の行いに責任を感じた清兵衛は河合に倹約奉行の役を返上したいと申し出るのだった。
ある日、清兵衛の元へ算用方の若侍が、偶然聞いてしまった河合の不正の事実を伝えに来る。たが、清兵衛の目の前で何者かによって撃たれてしまう。清兵衛は、すぐに河合の元へと向かい罪を明らかにしようとするのだった。するとそこへかつての配下・吉田と、清兵衛を尊敬している綾の夫・仁木義太郎(萬雅之)が駆けつけたのだった。そして、老公は、不正の証拠を見られた清兵衛たちを亡きものにしようとしたばかりでなく、己の罪からも逃れようとした河合を一喝する。不正は明らかにされたものの、老公は清兵衛と香苗のことが気がかりだった。老公に促され、香苗は金の使い道を話した。それは、身一つで藩を追われた吉田に渡したのだった。清兵衛に話せば、清兵衛が金を受け取ったことになると、涙ながらに話す香苗に清兵衛も苦労をかけたと涙ぐむ。そのやり取りに心が暖かくなる老公であった。また、正義を貫くことの難しさ、尊さが胸に去来するのであった。