タイトル
水戸老公(里見浩太朗)一行は、「美濃の輪中」といわれ、大小さまざまな川に囲まれている大垣へとやってきた。古い舟に乗って、川に落ちずぶぬれになった八兵衛(林家三平)を見かけ、おさよ(於保佐代子)という娘が親切に声をかけてくれた。おさよは、護岸工事の人足集めを請け負っている一文字屋という口入れ屋で働いていた。おさよは、八兵衛が濡れたまま旅籠へ行くのは無理だと思い、一行を自分の家へ連れて行った。そこで、老公は、一文字屋の主人・利兵衛(松澤一之)に給金はいらないので、泊めてもらって川普請の仕事をさせて欲しいと申し出るのだった。突然の申し出に皆が戸惑うが、一行はおさよに世話になることになった。おさよの部屋は裏庭の物置小屋で利兵衛の女房・お久(小宮久美子)、その娘であるおみつ(仁科仁美)とおあき(吉谷彩子)から、冷たくされていたのだった。
城では若い藩主・戸田氏定(沖崎裕一郎)が、側用人の木村金右衛門(沼田爆)から妻を娶るよう口うるさく言われていた。その気のない氏定を心配した木村は、野点の際に挨拶に来る城下の大店の主とその娘を見て、目にとまるものがいれば自分に言ってくれと懇願した。
おさよは、川普請たちの暮らしが厳しいことを分かっており、握り飯を作っては人足たちに分けるなど気にとめていた。川普請の現場では、助三郎(原田龍二)、格之進(合田雅吏)、八兵衛が仕事を続ける中、おさよは利兵衛の兄で先代の主人・宗右衛門の娘であること、利兵衛が主になってから給金が減っていることを聞く。その話を聞いた老公は、お娟(由美かおる)に、事情を探らせたのだった。
野点の日が来た。利兵衛はおみつとおあきを連れて出かけたが、氏定は皆の挨拶を受けて労をねぎらうだけで見向きもしない。そして、氏定は気晴らしに城を抜けた際に、乗っていた馬によって川普請の人足の護神である南宮様を蹴ってしまう。人足たちが氏定に詰め寄っていると、おさよが現れその場を治める。おさよは氏定に人足にとって南宮様がどのようなものかを話すと氏定は素直に頭を下げるのだった。そして、氏定はおさよの人柄を好ましく思い、奥勤めの話を進める。
その頃、お娟の調べで、利兵衛と家老の水野又之丞(浜田晃)が結託して、給金を横領していたことがわかった。また、一文字屋の前の主人が亡くなった時、おさよではなく今の主人に任せたのも、水野の息がかかったものだった。
奥勤めの話に、利兵衛たちは二人の娘のどちらかだと思っていたが、氏定が気に入ったのはおさよだと知って納得がいかず、おさよに詰め寄る。老公は、何も知らないおさよに事情を話すが、おさよは城へは行かずにこのまま人足たちと一緒に働くと言うのだった。氏定はふたたびおさよの元を訪ね、じきじきに城へ奉公するよう話したが、おさよは断る。そこで、氏定はおさよが気軽にいつでも城を訪ねられるようにと、亡き母の形見である櫛を渡したのだった。二人の様子を見ていた老公は、氏定に普請場で働く人足たちの姿を見せ、人は生まれたところで精一杯力を尽くすべきであることを説いたのだった。
ある日、人足の子供が誤って水野に怪我をさせてしまう。捕えられてしまった人足の子供を助けるために、おさよは意を決して城へ向かった。自らの企みが氏定に知られてはまずいと困った水野たちは、おさよを捕え、水死に見せかけて亡き者にしようとしていた。そしておさよは、自分の父も同じように水野たちによって殺されたという事実を知ったのだった。そこへ老公一行が現れ、水野たちの悪事を明るみにした。氏定は川普請のことを何も知らずにいたことを恥じるのだった。そして、おさよは城へ上がることを改めて断り、一文字屋の主となり、普請場で皆と一緒に泣いたり笑ったりしながら、氏定の役に立つことを誓ったのだった。
ストーリー
ゲスト
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